一年の恋。一年後の恋。


それから
たわいもない事でメールや
電話をする事はあった


けど、二人で会う事はない
さみしいとは思わない
この仕事が終われば
堤川さんと連絡を取る事もないだろう


寂しいなんて思って
自分が傷つくのが嫌だった



そんなある日
仕事から帰ると珍しく着信があった

登録されてない番号
っていうか、お母さんと会社の所長と派遣会社、堤川さんしか登録していない


間違い電話だ。



けど、その番号から
何度も着信があった


間違いっていってやろう
そう思って、電話に出た


『どちらにおかけですか?間違いって気づいてくださいよ』


そう言って切るつもりだった


「笹森真紀さん」


その言葉に一瞬時が止まった
5年間、毎日呼ばれていた声
だからか、忘れていなかった


『……杉下さん』


「……元気にしてた?」



まさかの電話に
私の頭になかなか会話は入ってこなかった
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