一年の恋。一年後の恋。
その話を聞いていた
隣の席の斉藤さんが口を挟む
「宮西さん、それはさすがに笹森さんに聞かないとマズイですよ」
「やっぱり?ごめん、ごめん。で、連絡きたの?何の用だった?ってか、真紀ちゃんと知り合いだなんてビックリしたよ」
なんて、ヘラヘラして言う
それが更に私の怒りに火をつける
『勝手に教えて、その態度ですか?私がどんな思いで、あの会社を辞めたかわかります?何も知らないくせに、勝手な事しないでください!私の番号なんか登録しないでください』
「えっ……真紀ちゃん、豊川商事に勤めてたの?」
隣の斉藤さんも、えっ?と声を出す
その言葉に私は我に返った
知られたくなかった…
あの会社にいた事を……
昔の私が嫌いだったから…
「えっ?あ、ごめん、真紀ちゃん。泣かないで、ごめん」
宮西さんが焦っていた
そりゃそうだ
突然怒って泣いて……
もう嫌だ……
『所長、今日は休みます』
『お騒がせしました』
そう言って入口に向かった
もう、どうでもいい。
知られたくなかった事を
怒りにかまけて
自白した……自分のミス
もう嫌だ。