一年の恋。一年後の恋。
スーツだと動きにくいからと
堤川さんは着替えてきた
「どこ行くかな?映画とか観に行く?」
『映画か……もう何年も観てないな』
「よし、なら行こう」
そう言って私の手を取り歩く
自然に手を繋いでくれる堤川さん
その手が居心地がいい。
トクン……
映画を観て、ランチして
プラプラとウィンドーショッピングして
そして、少し早めの夕食
「ここで良かったの?」
『ここがいいんです』
来たのは前に一度連れてきてもらった番屋
「もっと違うとこでも良かったのに」
『いいんです。私はここのイカ焼きが食べたかったんです』
そんな二人のやり取りに
「やっぱり、ねえちゃんはいいね。それに比べて……」
「おじさん、今日はデートだったんだ。最後くらいさー」
堤川さんは出張で来る時は
いつも番屋に来るらしく
おじさんとすっかり仲良くなっていた