一年の恋。一年後の恋。
やっぱり堤川さんといる時間は
楽しくて、すぐ過ぎてしまう
「あ、もうこんな時間か。最終逃しちゃうわ。おじさん勘定して」
土曜日なのに本社で仕事があるらしく
最終で帰ると言っていた
『私、払います!今日は全て出して貰ってますから』
そう言っても、全く受け入れてもらえず
おじさんも堤川さんも
「女に金を出させるなんて、クソだ」
糞とか言い出してしまう
『……ご馳走様でした』
「ん、元気出たならいいんだ」
そう言って頭を撫ぜてくれる
駅まで送る事になり
二人で道なりを歩く
『今日はありがとうございました。お陰で楽しいお酒でした』
「そう言って貰えると、休んだ甲斐があるもんだ」
『あ……そうだった。ごめんなさい……怒られたりしますかね?』
「んー、大丈夫でしょ。」
「じゃ、また。ちゃんとタクシーで帰らないとダメだよ」
『はい、わかってます』
『堤川さんも、ちゃんと暖かくして寝てくださいね』
クスッと笑ってしまう
「……ったく、そんな顔したら……」
そう言って私を優しく抱きしめる
『つ、堤川さんっ?』
「……帰りたくなくなる」
……嫌だ。
そんな事言われたら期待しちゃう