控え目に甘く、想いは直線的
そっと言った本人の顔色を窺う。
「見るな」
「わ、すいません! え?……」
一瞬目が合った部長の目の下辺りが赤かったから、もう一度確認のために見てみる。
今度は繋がっていない右手を口に当てていた。照れている顔を隠そうとしているようだ。
初めて見る顔に「見るな」と言われたことを忘れて、釘付けになった。
「なんだよ」
不機嫌そうに横目で見るけど、全然怖くない。私以上に恥ずかしそうにしている顔が信じられないし、おもしろい。
緩んでしまう口元を私も隠すように左手で押さえた。笑ったらもっと不機嫌になってしまうだろうから。
私たちは何も話さないで比較的空いていた和食レストランに入った。入り口でやっと手を離したけど、まだ温もりが残っている。
オーダーを済ませ、正面にある顔に目を向ける。もう顔に赤いところはない。いつもの部長だ。
「部長は映画、よく見に行かれるんですか?」
「今日は休みだし、ここは会社じゃない」
質問の返事とは思えない言葉が返ってきて、首を傾げた。私が言ったこと、聞こえなかったのかな。
「見るな」
「わ、すいません! え?……」
一瞬目が合った部長の目の下辺りが赤かったから、もう一度確認のために見てみる。
今度は繋がっていない右手を口に当てていた。照れている顔を隠そうとしているようだ。
初めて見る顔に「見るな」と言われたことを忘れて、釘付けになった。
「なんだよ」
不機嫌そうに横目で見るけど、全然怖くない。私以上に恥ずかしそうにしている顔が信じられないし、おもしろい。
緩んでしまう口元を私も隠すように左手で押さえた。笑ったらもっと不機嫌になってしまうだろうから。
私たちは何も話さないで比較的空いていた和食レストランに入った。入り口でやっと手を離したけど、まだ温もりが残っている。
オーダーを済ませ、正面にある顔に目を向ける。もう顔に赤いところはない。いつもの部長だ。
「部長は映画、よく見に行かれるんですか?」
「今日は休みだし、ここは会社じゃない」
質問の返事とは思えない言葉が返ってきて、首を傾げた。私が言ったこと、聞こえなかったのかな。