控え目に甘く、想いは直線的
えっ? ここは会社で壁一枚隔てた向こうには大石さんがいるのに、なんてことを!
離れようとするけど、後頭部を押さえられて身動きできない。要さんの舌が閉じている私の唇をこじ開ける。
体が震えたが、誰かに見られたら困ると咄嗟に思い、資料を持っていないほうの手で、要さんの肩を押す。
「なんだよ」
不機嫌な声で、要さんが離れる。
「ここ会社ですから、ダメです」
「ふうん。じゃあ、続きは明日にするよ。覚悟しておいて」
何を覚悟しろというのだか。私はまだ要さんの熱の残る唇に手を当てて、首を傾げた。
要さんが応接室を出たあとに私も出る。
「あれー? なんか要さんの唇、ほんのりピンク色ですよ」
「えっ?」
大石さんの鋭い指摘に要さんではなく、私が反応してしまった。要さんは私を見て「バカ」と口を動かす。
しまった!
「クスッ。野々宮さん、気を付けてねー。じゃ、俺は総務に行ってきます。要さん、大人しくしてくださいねー」
大石さんはファイル片手にまたもや手をひらひらさせて、人事部を出ていった。
この状況で二人きりにさせられても困る。
離れようとするけど、後頭部を押さえられて身動きできない。要さんの舌が閉じている私の唇をこじ開ける。
体が震えたが、誰かに見られたら困ると咄嗟に思い、資料を持っていないほうの手で、要さんの肩を押す。
「なんだよ」
不機嫌な声で、要さんが離れる。
「ここ会社ですから、ダメです」
「ふうん。じゃあ、続きは明日にするよ。覚悟しておいて」
何を覚悟しろというのだか。私はまだ要さんの熱の残る唇に手を当てて、首を傾げた。
要さんが応接室を出たあとに私も出る。
「あれー? なんか要さんの唇、ほんのりピンク色ですよ」
「えっ?」
大石さんの鋭い指摘に要さんではなく、私が反応してしまった。要さんは私を見て「バカ」と口を動かす。
しまった!
「クスッ。野々宮さん、気を付けてねー。じゃ、俺は総務に行ってきます。要さん、大人しくしてくださいねー」
大石さんはファイル片手にまたもや手をひらひらさせて、人事部を出ていった。
この状況で二人きりにさせられても困る。