控え目に甘く、想いは直線的
「まあ、他の新入社員よりは大事にしてるつもりだよ。拓人みたいにむやみに触るやつを遠ざけるとか」


「は? なんですか? その曖昧な位置関係は? 会社とか仕事とか関係なしにどうなんだと聞いているんですよ。大体どこまでしたんですか?」


「そんなの、拓人に報告する義務はない。いいから、飲めよ」


要さんは大石さんのグラスにシャンパンを注ぐ。結局欲しい答えは出なかった。大石さんが言うように曖昧だ。


誕生日会は予定通り、二時間で終わった。大石さんは二次会を希望していたけど、家に帰って仕事をすると言う要さんに強制終了されてしまう。

大石さんは文句を言いながらも、一人で行くところがあるとどこかに行ってしまった。


「お疲れさまでした。おやすみなさい」


私は要さんに頭を下げて、駅の方向に足を向ける。


「夕美、送る。タクシーで帰ろう」


「いえ、大丈夫ですよ。要さんはまだ仕事をするなら早くに帰ったほうがいいですよね?」


どのくらいの量の仕事を持ち帰ったのかは不明だが、私を送ってからでは要さんの帰りが遅くなるし、仕事を終わらせる時間も遅くなる。
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