控え目に甘く、想いは直線的
前もって伝えてくれるのは心構えが出来るからいいけど、三ヶ月先の予定を決められたのには驚きだ。

結局この日も気持ちを伝えることは出来なかった。



「でもさー、場所によっては一年も前から予約しないと取れないホテルもあるから、三ヶ月前は遅いほうだと思うよ。それに連休なんだから、空いているホテルを探すほうが大変なはずよ。よく取れたわね」


「あー、その時は予約出来なくて、あとで予約しておくと言ってた。だから、取れたかどうかは分からなくて。もしかして、取れてないかも」


大石さんの誕生日会が行われた翌週の仕事帰り、私は柊花と居酒屋に入った。あまり得意ではない生ビールで乾杯をして、喉を潤す。

蒸し暑い日だったから、たまにはピールを飲みたいと思ったが、半分くらい飲んだところで少し冷えてきていた体がまた熱くなってきた。

やっぱり中ジョッキは多かった。飲み終わっていないけど、烏龍茶をオーダーする。


「ちゃんとお互いの気持ちを確認したほうがいいよ。特に、柴田部長の気持ちを知らないで旅行して、後悔しても遅いのよ。キス以上のことが起こる可能性は大なんだからね」
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