控え目に甘く、想いは直線的

園田さんが言う新人が誰かは名前を言われなくても私のことだ。たくさんの人が人事部を希望していても願いが叶わなかったというのなら、私はそのたくさんの人に妬まれているのだろう。

けれど、私自身も人事部に配属されるなんて思いもしなかったし、配属を決めたのは要さんだ。


「私も驚きました。同じように新人が配属される場所ではないと思っていましたので」


「そうね。野々宮さんが柴田部長を知らないから、入れたのかもね。下心が何もないほうがいいと判断したに違いないけど、今はどう？」


「はい？ 何がですか？」


「近くでほぼ毎日かっこいい人を見ていて、何も思わないの？ バーベキューの時に二人で抜け出していたけど、本当に真っ直ぐ送ってもらった？」


園田さんは目鼻立ちがはっきりしていて、綺麗な人だ。でも、意思の強そうな瞳で見られて、私は返答に戸惑った。

嘘はついてはいけないと思うが、本当のことはもっと言ってはいけないと感じる。


「素敵な方だと思います。仕事に対して、とても熱心で尊敬してます」


「へー、俺尊敬されているんだ」