控え目に甘く、想いは直線的
三日間の面接は私が思う以上にハードだったのだろう。

普段は二人ともブラックだが、疲れているとやっぱり甘いものが欲しくなるのかな。私は砂糖をひとさじ入れたコーヒーと冷蔵庫にあったチョコを小さいガラス皿に入れて、再び応接室に入る。

大石さんがチョコを食べてから、コーヒーを半分くらい飲んで「あっ!」と何かを思い出す。


「経理課に呼ばれていたのを忘れていた。よし! 野々宮さんのおかげで元気になったから行ってくるね。野々宮さんもゆっくりしていていいからね」


「はい。行ってらっしゃい」


大石さんが出て行ったのを確認してから、私は要さんの隣に座った。まだ目を閉じているので、そっと覗くように見る。


寝てる? コーヒー、飲まないのかな?

冷めてしまうし。


「部長」


「二人だけの時は名前でいいと言ったはずだけど」


「起きていたのですね。あの、コーヒーを飲みませんか?」


「無視するなよ」


要さんは顔を私の方に向けて、目を開ける。目が合ってしまい、心臓がドキンと跳ねた。

要さんの伸ばした手が、私の髪に触れる。
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