控え目に甘く、想いは直線的
今夜の食事の目的は私の話だったが、それよりもまず要さんの話の続きが聞きたい。

「なにを話していたっけ?」ととぼけた顔をするので、食事前までに話していたことを大まかに伝える。


「好きな人がいるかって、そんなにも気になること?」


「多分そのときは話の流れで聞いていて、それほど気にしてはいなかったと思います。でも、今は気になります」


なにを話したか覚えていないくらいなのだから、質問に特別な意味はなかったと思う。でも、今はその質問の答えがとても気になる。

好きな人がいるのか、その好きな人は誰なのか?

それを聞かないと私は自惚れて、ただキスをされたことをバカみたいに浮かれているだけになるから。

そして、それが私がしたい話に繋がる。


「本当に夕美は真っ直ぐだよな? 曲がったことは嫌いだろ?」


「えっ? いえ、そんな……ただハッキリした答えが知りたくて……」


曲がったことが嫌いというか、曲がったことをする人が苦手だった。でも、要さんはどんなことを曲がったことをだというのだろうか。
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