控え目に甘く、想いは直線的
「言っとくけど、涼と一緒のときは何も感じなかったし、涼の気まぐれで珍しいタイプの子を連れているんだなと思っただけだ。夕美が面接に来て、背筋を伸ばして、真っ直ぐ俺を見る姿勢に惹かれた」


背筋を伸ばして、真っ直ぐと試験官を見るのは面接マニュアル通りのことである。だから、私の面接姿勢は他の人と大差がないと思う。

本当にそこに惹かれる要素があった?

それも人材としてではなくて、女性として?


「なんだよ、まだ信じられない? あの15分くらいの面接で俺は夕美が欲しくなった。新入社員の人事部への配属は考えていなかったから、いろいろ理由をつけて作ったんだよ。人事部長の特権として、夕美が人事部向けだと提言した」


「本当に私を?」


要さんの言葉に嘘は感じられないけど、まだ信じられない思いがある。


「一目惚れではなく二度目惚れというかな。涼に会いたいがために受かりたいという熱意が伝わってきてね。通常ではあり得ないことなんだけど、こんなことに情熱を注いでいる夕美がバカでかわいいと思った」


「バ、バカでかわいい?」
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