控え目に甘く、想いは直線的
あのとき、私は本当に辛かった。だけど、涼さんを好きな私を要さんが想ってくれていたかと思うと、申し訳ないというかいたたまれない気持ちにもなる。

そんな状況の中でも要さんは叶わない恋をしている私も変わらず好きでいてくれた。考えれば考えるほど嬉しくなる。


「ありがとうございます」


「えっ? お礼を言われることなんかしてないよ。罵られてもおかしくないことばかりしていただろ?」


言われて思い出してみれば、突然キスをしてくるし、バーベキューでも突然帰らされた。要さんの強引ともいえる行動は自分勝手で、非難してもおかしくはない。

でも、私は受け入れた。なぜならば、要さんを好きになっていたからだ。

だから、強引なやり方ではあったけど、こんな私を好きでいてくれたことは本当に嬉しくて、感謝したい。


「いいんです。どんな要さんでも私は好きですから。私、本当に感謝しているんですよ。要さんが私を採用してくれて、人事部に配属してくれたことを嬉しく思っています」


「公私混同してるのに? 下心があってのことなのに?」


今度は要さんが信じられないという顔をしている。
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