控え目に甘く、想いは直線的
「もう涼さんへの想いは過去のことです。今、好きなのは要さんですし、要さんが私を好きだと言ってくれるのが嬉しいです」


私の気持ちに偽りはない。要さんが好きだと真っ直ぐ伝えたい。信じられないというなら、何度でも言うつもりだ。

本気で好きですと。


「俺も嬉しいよ。俺のほうに気持ちを向けてくれていると感じてはいたけど、不安もあった。だから、好きだと言ってくれるのが嬉しい」


要さんが頬を微かに赤くして、喜びを伝えてくれる。

想いが届いた。

要さんも同じように想ってくれる。

嬉しくて、嬉しくて、飛び跳ねて、要さんに抱きつきたいくらい。


「やばいな。顔がにやけてしまう」


「要さんも? ふふっ、私もです」


「とりあえず出るか。あ、忘れてた。夕美の話はなに? 夕美が話をするためにここに来たのに、まだ話していないよな」


帰ろうと腰を浮かせた要さんはもう一度座り直す。私も立ち上がろうとバッグを手にしていた。


「もう済んだから、いいですよ。帰りましょう」


「済んだ? 何を話したかったの?」
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