控え目に甘く、想いは直線的
それなのに、二年振りに見た柴田涼から目が離せない状況になっていた。


「ごめん!大丈夫?」


柴田涼は、相変わらずモデルのような美女と歩いていた。

柴田涼に腕を絡ませて歩いていた女は、柴田涼を見ながら歩いていたからなのか、すれ違う私に気付かないで、ぶつかってきた。

それでもぶつからないように避けていたのに…大事なものを手に持っていたから。

だけど、避けきらなくてぶつかってしまい、その衝撃で持っていた箱は道路に落ち、横に転がった。

一人暮らしをしているおばあちゃんの家に向かう途中だった。今日は80才になるおばあちゃんの誕生日で、家族が揃ってお祝いをする予定になっている。

私はケーキの担当で、おばあちゃんの好きな生クリームのホールケーキに「80才、おめでとう」とプレートに書いてもらった。

おばあちゃんの喜ぶ顔を楽しみにしていたというのに、こんなことになるなんて…。


「ああ! ケーキが!」


「本当にごめん! 弁償するよ。すぐに新しいのを買いに行こう」
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