控え目に甘く、想いは直線的
部長が一人掛のソファーに座り、向かいの三人掛に私は大石さんと成らんで座った。部長からホチキスで止めてある資料を渡される。

大石さんが司会をやって、部長が説明をするらしい。それで、私は資料を配ること。


「野々宮さんは配り終わったら、同じように座って説明を聞いていて」


「私も研修を受けるんですよね？」


「いや、野々宮さんは受けなくていい」


「はい？ なんで……」


部長から受けなくていいと言われた意味が分からなかった。私も今日入社した立派な新人だ。だから、私も当然今日から二週間の研修は受けるものだと思っていた。

それなのになんで？


「要さん、ちゃんと説明しなくちゃダメですよ」


「ああ、じゃあ拓人が説明しておいて。手短に10分で終わらせて。それまでメールチェックしてるから」


部長は大石さんに言うと応接室を出ていった。


「簡単に説明するから質問があったら、あとでまとめてしてね」


大石さんはそんな前置きをして説明を始めた。
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