控え目に甘く、想いは直線的
そこで、今回の採用予定人数はやっぱり当初10人だと聞かされる。それと、人事部が先月に設立されたことも知った。

今までは総務部の中で人事をやっていたという。人事部長という役職だけはあるものの、部長以外に人事を専門にやる人はいなく、総務部の誰かがその都度指名をされて指示された業務を行っていたらしい。


「まあ、大体指名されるのは俺だったんだけどね」


「あの、お二人の仲は?」


大石さんが部長のことを『要さん』と呼び、部長も『拓人』と呼ぶのが親しそうで社内だけの関係ではないように思えた。

もっと深い絆があるような。


「あ、気付いた? 俺たちは高校の時の先輩、後輩なんだよ。俺と要さんは……」


「10分経った。終わったか?」


「えっ? あの、一つだけ聞いてもいいですか?」


きっちり10分経ったときに部長が戻ってきて、二人の関係が高校時代からのものとしか聞けなかったが、それよりも気になることがあった。


「ああ。どうぞ」


部長が座ったのを確認して、口を開く。
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