控え目に甘く、想いは直線的
「労働安全衛生法が改正されたのは知っているか?」


「いえ、知りません」


「そのことがここに書かれているから、ちゃんと読んで、理解して。それは野々宮の担当になるから」


「私の担当?」


新人の私にある担当はお茶汲みくらいのものだと思ったから驚いた。目を丸くさせていると大石さんが出社してきた。


「おはようございます! あ、やっと渡したんた。野々宮さん、頑張ってね! それと、この前は大丈夫だった? 無事帰れた?」


「おい、それはどう意味なんだよ」


「あの、大丈夫です。ちゃんと送ってもらいましたから」


と、答えるものの何も覚えていない。誰が送ってくれたのかも私の記憶の中にはない。

ただ母と姉から聞いただけ。あの朝、バスルームから出たあとはなぜか質問攻めにあった。

「いくつの人なの?」「彼女はいるの?」「好きな食べ物は?」等、そんなことを聞いてどうするの? という内容の質問だったが。
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