控え目に甘く、想いは直線的
「何でもないって、そんなことないよ。野々宮さんが生まれた記念の日なんだからね。そうだ、三人しかいないから誕生月にはお祝い会をしようよ」


名案だと大石さんは手を叩いた。お祝い会するなんて、子供みたいだ。でも、楽しそう。

部長の考えはどうなのかな?

大石さんと私は部長の意見に注目した。また眉間に皺を寄せている。

いつも寄せていたら、取れなくなりそうだからやめたほうがいいのに。

そんな部長と一瞬目が合って肩を竦めた。私が思ったことが分かったのだろうか。


「まあ、いいんじゃない。俺が一番最後だな」


「もちろん、一番最後だから盛大にやりますよ!」


「部長は何月生まれなんですか?」


「おっ! 野々宮さんが興味を持ってくれてますよ!」


特別興味を持ったわけではないので、大袈裟に反応する大石さんに困ってしまう。特に注目すべき質問ではないと思うのに。


「俺は11月生まれだけど?」


部長までなぜか期待を込めたような目で見てきて、冷や汗が出そうなくらい困る。
< 66 / 224 >

この作品をシェア

pagetop