控え目に甘く、想いは直線的
翌日は合同研修がない日だったので、私は朝から前日に渡された冊子を読んで、さらにもっと知りたくなり、パソコンで検索していた。

まだまともな仕事をしていない私でも分かるくらい社会人は誰しもがストレスを感じるようだ。感じるストレスが強くなって、うつ病になる人も多いらしい。

自ら命を絶つという最悪な結末を迎える人も少なくはない。

読んで、調べて、また読んで……を繰り返す。


「野々宮。真剣なのはいいけど、昼休みだ。今日も弁当を持ってきてるのか?」


「えっ? あ、いえ、今日は……あ、そういえば大石さんはどちらへ?」


「何を言っているんだ? 拓人は午後から総務部との打合せの予定になっていて5分前に出ていっただろ?」


部長が怪訝そうに見てくる。集中しすぎると周りが見えなくなるのは小さい頃からの私の悪い癖でもある。

大石さんが午後から総務部へ行くことは週間スケジュールにもあったし、昼休みも総務部の人と会食をすると今朝の連絡事項で言っていた。
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