控え目に甘く、想いは直線的
「すみません! 思い出しました……」


「まあ、いいけど。弁当じゃないから一緒に食べに行くか?」


「はい? あ、私は……」


今日、お弁当を持ってこなかったのにはちゃんと理由がある。それを伝えようとしたとき、ドアがノックされて開かれた。


「失礼しまーす。夕美、メッセージ送っても返事がないから来たよ。早く行かないと昼休みが終わっちゃうから」


今日は柊花と量があって美味しいと評判の定食屋に行く予定にしていた。柊花が同じ部署の先輩に教えてもらったそうだ。


「柊花、ごめんね。すぐ行こう」


「三上さん、俺も一緒に行ってもいいかな?」


私がデスクの引き出しから財布を出していると予想もしないことを部長が柊花に聞いていた。


「別に構いませんけど」


柊花も予想していなかったようで、私の意見を求めるように見てくる。

部長がいると緊張するから柊花と二人だけで食べたいのだけど、ここで断ることは私も柊花同様で無理だ。
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