控え目に甘く、想いは直線的
呆れた感じに言われても、指示されたことをやるのが精一杯で直接関わりのないことまでやれないのが事実。中途半端にやるよりは今できることをきちんとやることのほうが大事だと思う。

と、言い返したいが、言い返せない。

千切りキャベツにソースをかけながら、小さくため息をつく。


「野々宮」


「はい?」


「意見があるならちゃんと言え。言わなければ分からない」


私のため息で不満を感じ取ったようで、部長自身も不満そうに言う。

そんな私たちを見ていた柊花が微かに笑った。


「柴田部長。夕美は我慢するような人ではないんですよ。でも、今は少し我慢しているかも。多分、新入社員という身分をわきまえているのだと……ね、夕美」


柊花の言葉に部長が「そうなのか?」と重ねてくる。


「えっ? いえ、特に我慢はしてなくて……本当に今は指示されたことをやるのでいっぱいいっぱいで……私に余裕がないのがいけないんですけど……」
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