控え目に甘く、想いは直線的
1時間後……

こんな感じでいいかな。部長に確認してもらいたいけど、どこにいったのだろう。

また集中し過ぎて、部長がいなくなったことに気付かなかった。

大石さんもそうだけど、なんで静かに出ていくのだろう。声くらい掛けてくれてもいいのに。

しかし、肩が凝ったな。

両手を上げて、伸びているとドアが開く。


「何しているんだ?」


「あ、部長。いえ、ちょっとストレッチを」


「ふうん。出来たか?」


私はプリントアウトした用紙を二枚、部長に差し出した。
他の部署にでも行っていたのか、小脇に抱えていたファイルを置いてから受け取る。

端から端まで目を通して、私に戻してきた。


「タイトルに年度を入れておいて。あと、右上に社名と人事部を入れて」


「はい、分かりました。あとはこのままで大丈夫でしょうか?」


「もうすぐ拓人が戻るから確認してもらって」


部長は座って先程持っていたファイルを開く。
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