控え目に甘く、想いは直線的
しかし、その素早い行動についていけなかった。

大石さんや涼さんに比べるとやっぱり部長は素っ気なく冷たい。優しくして欲しいとは思わないけど、もう少し表情や言葉に温かみが欲しいと思ってしまう。


「またー、要さんのそういう冷たそうなところに野々宮さんが萎縮してますよ。もう少し優しく言ったらいいのに」


「いえ、そんな！ 別に萎縮なんてしてないです」


私の気持ちを汲み取って大石さんが部長の態度を咎めるように言ってくれたけど、そんなことを言われて機嫌が悪くならないかと心配になった。

だけど、予想外の言葉が返ってくる。


「いや、萎縮させるとかそんなつもりはなかったけど、冷たく感じたなら、それは誤解だから。悪かったな」


本当に申し訳なさそうな表情で謝るから、驚いた。人間らしさを見た感じがした。


「いえ、本当に気にしていなくて……あ……」


言い切る前に部長は人事部を出ていってしまった。

なにか急ぎの用事があったのだろうか。
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