控え目に甘く、想いは直線的
戸惑いの距離
入社して一ヶ月が過ぎて爽やかな風が吹く五月のある日、突然大石さんが「そうだ!」と大きな声を出した。
私は肩をビクッと揺らして何事? と大石さんを見る。
部長は相変わらず眉間に皺を寄せて、「なに?」と訊ねた。
「忘れていたんですが、総務部で毎年恒例のバーベキューを話が今年も出ていて、人事部の皆さんも参加しませんか? と言われているんですけど、お二人とも予定はどうですか? あ、日にちは今月末の土曜日です」
「バーベキューですか?」
「そう、バーベキュー! 野々宮さん、やったことある?」
「子供の頃、キャンプしたときにやったくらいですけど」
「子供の頃なら初めてみたいなものだね。行ってみる? 楽しいよ」
楽しそうなお誘いだけど、悩む。やったことがないに等しいから、他の人の迷惑にはならないだろうか。
でも、総務部の人たちと仲良くなるチャンスではある。総務部の人とは挨拶しかしたことがない。人事部はたった三人しかいないから、他の人とコミュニケーションがなかなか取れないのが寂しいと思っていた。
「参加します」
私は肩をビクッと揺らして何事? と大石さんを見る。
部長は相変わらず眉間に皺を寄せて、「なに?」と訊ねた。
「忘れていたんですが、総務部で毎年恒例のバーベキューを話が今年も出ていて、人事部の皆さんも参加しませんか? と言われているんですけど、お二人とも予定はどうですか? あ、日にちは今月末の土曜日です」
「バーベキューですか?」
「そう、バーベキュー! 野々宮さん、やったことある?」
「子供の頃、キャンプしたときにやったくらいですけど」
「子供の頃なら初めてみたいなものだね。行ってみる? 楽しいよ」
楽しそうなお誘いだけど、悩む。やったことがないに等しいから、他の人の迷惑にはならないだろうか。
でも、総務部の人たちと仲良くなるチャンスではある。総務部の人とは挨拶しかしたことがない。人事部はたった三人しかいないから、他の人とコミュニケーションがなかなか取れないのが寂しいと思っていた。
「参加します」