雨も好き。
会場に着く前に、花火が上がり始める。
「きれー....」
隣で花火を見ながら嬉しそうななっちゃん。花火に照らされる横顔は、いつもより大人びて見えた。

すると、不意にこちらを見る。
「な...なんかついてる?」

思わず吹き出す。
なんでこう、可愛いかなぁ。
「んーん、なんにも。可愛いよ。」
ぽんぽんと頭に手を乗せる。

すると俯いて、なっちゃんが呟く。
きっと、僕に聞こえないように。
「─....、バカ。」

バカって。
なっちゃんに言われたくないなぁ。
まあ、なっちゃんからの難題は未だ解けやしないけどさ。

会場につくなり、なっちゃんはりんご飴に直行する。

「りんご飴ってさ、りんごまで到達しなくない?」
僕は甘いものは苦手だ。隣でイカ焼きを買う。

「えー、屋台と言ったらりんご飴でしょ。そんなおじさんみたいなの買ってる人に言われたくないし!」

おじさんって。僕まだ15なんですけど。
ツッコミのつもりで、軽くなっちゃんの頭を小突く。
すると、また赤面するなっちゃん。
りんご飴と同化している。

「お、おおおお手洗い、行くね!」

完全に、おかしい。
なっちゃんはりんご飴を持ったまま行ってしまった。
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