雨も好き。
「─っと、セーフ。」

翔ちゃんが後ろからあたしを抱いていた。

目の前では、瑛星が振り返っていた。

この構図、なんだかあの日を思い出す。

頭の中はもう真っ白。

すると翔ちゃんが
「もう、お手洗いは反対側だよ。危なっかしいんだから。」
と言った。

「あ、ああ、うん、ごめん。」
そう言って瑛星を背に逃げるように退散した。

翔ちゃんはまだそこにいた。
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