雨も好き。
赤面しっぱなしのなっちゃん。面白いなぁ。

「ねえ、僕もりんご飴食べてみたいなあ。」

「え!?やっぱ買ってこようか!?」

あわてふためいている。
面白い。

「んーん。ちょっとでいい。それ、ちょっとちょーだい。」

またしても赤面。

何この子、食べちゃってもいい?

りんご飴よりずっと甘そう。

「んじゃ、手離さないと...」

僕の右手には、二人分の金魚。

左手は繋がれている。

「だめ、約束は約束。」

そう言って、あーんと口を開ける。

少し躊躇した後、僕の前にぐいっとりんご飴を持ってくる。

なんかゴニョゴニョ言ってるんだけど...聞こえないから聞かなかったことにする。

「んー、やっぱ甘い。」

「し、翔ちゃんが食べたいって言ったんじゃん!文句言わないでよね!」

「ごめんごめん。」

それにしても、りんご飴ってなんだか毒りんごのようだ。
このままなっちゃんが倒れたら、僕が起こしてあげるのに。

それとも、僕じゃ起きれない?

いっそ、これが毒りんごで、なっちゃんが倒れたら誰が王子様かハッキリできるのになぁ。

そんな不謹慎なことを考えながら、もう一度なっちゃんの手を握り直す。

そして、なっちゃんが食べているそれを、反対側から舐める。

だから、君もうりんご飴になれるよ?

「っ〜〜!!」

声になってません。
可愛すぎます。

「帰ろうか。」

そう言うとコクリと頷き、そんななっちゃんの手をぶんぶんと、少し大袈裟に振りながら帰った。
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