雨も好き。

瑛星side

雨だ。

そんなことを考えながら、外を見る。

洗濯物に雨が当たっているのを風景のようにぼーっと眺めて...

「やっべぇ!!」

母さんに怒られる。
雨が降ったらとりこんでおくように言われていた。

適当にサンダルを足につっかけて、急いでとりこむ。

まだぎりぎりセーフなラインだった。

雨は苦手だ。
今は少し思い出したくない人を思い出す。

「外でも出るか」

ここにいても、きっと何もせず一日が過ぎる。
だったら少しでも。

今度はスニーカーを履いて、玄関に鍵をかけて、ビニール傘を差した。
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