雨も好き。
無言でそれを食べる。

砂糖とミルクで色が変わったコーヒーを飲みながら。

「俺さ...俺もさ、後悔してた。
でも、付き合ったことも、別れたことも、これで良かったと思えた。
俺にとって、春花が大切な存在なことは変わんねぇな、やっぱ。」

そう、出会ったあの日から。

親の離婚と転校は、小学生の俺には耐えきれないほどの重りだった。

それを全部下ろしてくれた。

春花の笑顔が意図も簡単に。

春花はいつも俺の前を行く。
たとえ並んで歩けなくとも、お前が前にいてくれれば俺は頑張れるよ。

だから、形は変わっても、
「これからも、友達でいてくれるか?」

「もちろん。そうでなきゃ困るわ。」

そう言うと、またあの変わらぬ笑顔で俺を見る。

お互いコーヒーを飲み終わると、春は伝票を持って席を立った。

春花の空のコーヒカップの横には、角砂糖とミルクが残っていた。
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