雨も好き。
瑛星。

「おはよーさん。」
だるそうに教室に入ってくる。

「よう夏海、お前課題終わったのかよ。」

あれ?普通だなこいつ。まあいい、夏海様はいま機嫌がよろしいのよ。

「終わってるし?」

得意げに答える。

泡吹いて倒れるかと思ったら
「おう、そりゃよかったな。見せろ。」

は?

「...りんご飴とるの、大変だったなぁ。」

こいつ!!

「しょうがないなぁ...提出までに返してよね?」

「お、サンキュー♪」

そう言ってあたしのワークを持っていく。

そして開いた瑛星のワークは─

「あんたなにそれ!真っ白じゃん!!」

ありえない。それはいくらなんでもありえない。

「だから借りてるんだろ?」

当たり前といっちゃ当たり前だが、瑛星のワークが埋まることなく提出の時間が来た。

「やっぱ無理だったか...」

むりだよ!それはさすがに!

瑛星は渋々ワークを返した。かと思うと、

「...瑛星?離してくれる?」

ワークからなかなか手が外れない。
そして、ぐいっと引っ張られる。

「放課後、教えろ。はいかyes、どっち?」

それ、二択になってませんが。

しかし、答えなければ離さないと無言の圧力。こうしている間にも提出は進む。

「わかったよ。」

はいかyesで答えなかったのは、責めてもの抵抗だ。
そんなことも気にせず瑛星は満足げ。

くっそー。

そしてあたしはとぼとぼと提出しに行った。
< 121 / 214 >

この作品をシェア

pagetop