雨も好き。
「雨ってほんとだるい」
思ってない、本当は。

入学式の日、瑛星に雨が好きだと言った。
きっと彼は覚えてないけど。

だから、適当な話題作りに言ってみた。

すると、瑛星は表情を曇らせた。
「おまえ、雨好きだったろ?」

覚えてたんだ。

「俺は好きだぞ。お前に言われてから、雨音とか、雨の匂いとか、いいと思うようになった。
それに...こうやって同じ傘に入れるしな。」

なにそれ、反則。

「おまえ、なんでそんな嘘つくんだ?
好きなら好きでいいんじゃね?
入学した頃の、もっと素直な夏海がいい。」

あたしだってそうしたいよ。

でもだって、そうしたらあたしの居場所がなくなる。

友達にさむいやつだと思われる。

たまに、彼女達の話ですごく不快になることがある。

でも、それを言葉にできない自分がもっと
嫌で、嫌気がさす。

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