雨も好き。
2人は手を離して、瑛星が改札を抜ける。

そこで初めて自分の体が動いた。

瑛星が見えなくなってから、

「夏海。」

声をかけた。

「ねぇ、どういうこと?なんで言ってくれなかったの?」

違う、そういうことじゃなくて。

「...春花だって、言ってくれなかったじゃん...。」

え?

言わなかったって、どういうこと?

そう思っている間に、夏海は改札を抜けてしまった。

なにか、なにか誤解がある。

だってあたし、夏海に隠し事なんかしていないもの。

ますます謎は深まるばかりだった。

それから、委員会も忙しく、勉強会もないままに、夏海と話すこともなくなった。
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