雨も好き。
ふわりと体が浮いた気がした。

よくわからないけれど、優しくて温かい、懐かしいような感覚だった。

気づいた頃には、保健室のベッドの上。

横を見ると、瑛星があたしの手を握ったまま眠っていた。

反対の手で瑛星の頭を撫でると、サラリと揺れる少し茶色い髪。

すると、長いまつげが動いて、綺麗な瞳があたしを捉える。

「夏海!よかった...。」

瑛星がここまで運んでくれたのだろうか。

でも、そうしたら、あれ?

リレーはどうなったのだろう。

「リレー、どうだった...?」

恐る恐る聞いてみると、

「予選は1位だったよ。ただ、決勝は散々だったけどな。」

「そっか。ごめんね?」

「走り終わったら夏海が運ばれたって聞いて...無事でよかった。先生は疲労が溜まっただけだって言ってたぞ。」

頑張りすぎるなよ、ばか。

そう言ってあたしの頭をぐしゃぐしゃとする。
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