雨も好き。
家に着いてベッドに寝転ぶ。

目を閉じると、あの時の感覚が蘇る。

優しくて温かい、懐かしいような感覚。

翔ちゃん...。

お礼、言わなきゃな。

いつもだったら家を飛び出して、隣の家のインターフォンを鳴らすが、もうそれはできない。

今更ながら、結構すごいことしてたんだなあなんて。

バッグからスマホを取り出し、古賀翔馬の名前を探す。

何度も打っては消して、打っては消して。

ダメだ、全然まとまらない。

電話してもいい、よね？

通話ボタンを押すと、3回のコールのあと、

｢あ、なっちゃん。大丈夫だった？｣

いつもの翔ちゃんの声。

今日も1回聞いたのに、なんだかとても懐かしくて。

思わず言ってしまった。

｢会いたい。｣

一瞬の沈黙、一拍おいて、自分がとんでもないことを言ったことに気づく。

ふっと笑った声が聞こえて、電話が切れる。

あー、やっちゃった。

そう思った時だった。
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