雨も好き。
『ピンポーン』

誰だろう、こんな夜に...

「...はーい」

と、そこに立っていたのは、翔ちゃん。

「え!?な、なんで!?!?」

「なんでって、なっちゃんが会いたいって言ったんじゃん。」

と、いつもの笑顔。

「外、出れる?」

コクリと頷いて、ローファーに足を入れる。

公園に向かって歩くあいだの沈黙。

でも、なんだか翔ちゃんとの沈黙はほっとする。

なにか話さなきゃとか、そんなこと考えなくていいから。

って、そうだ!お礼!

「翔ちゃん、今日はありがとう、瑛星に翔ちゃんが運んでくれたって聞いた。」

ぽりぽりと頭をかいて、言わなくていいって言ったのにと少し参った顔。

「借り物の時から、顔色おかしいと思ってたんだよね。無理するから、まったく。」

そう言って、あたしの頭に手が触れる直前、翔ちゃんはぎゅっと拳を握ってあたしの頭の上から手を離した。

「瑛星に、怒られちゃうね。」

そう言って、少し微笑む。
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