雨も好き。
手を引いて、なっちゃんを抱きしめる。

強く、強く、細身のなっちゃんは、壊れてしまうのではないのかというほど。

それから少しして、離れていくなっちゃん。

「びっくりしちゃった。

でも、ごめんね?あたし今、瑛星と付き合ってるんだ。

気持ちはすごく嬉しかったけど、あたしの好きな人は瑛星だから。」

そう言って、微笑み、僕に背を向ける。

じゃあね、と振り返りもせずひらひらと手を振ってみせて、行ってしまった。

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