雨も好き。
翔ちゃんの真っ直ぐな目が、あたしを捉えて離さなかった。

その真剣な目と、真剣な口ぶりは、それが冗談でも嘘でも友達としてでもない“好き”だということが痛いほど伝わってきた。

勝手に春花とお似合いだなんて思い込んで、自分が傷つかないように、逃げるように瑛星と付き合った。

なんで自分の気持ちに気づかなかったのだろう。

隠そうと思った頃にはもう遅く、涙が頬を伝っていた。

きっと、気づかなかったんじゃない、気づかないふりをしていたんだ。

しまっておいた気持ちは、とうの昔に箱から溢れ出していた。

それなのに、それを見ないふりをして、背を向けたのは自分だ。

あたしが逃げたから、翔ちゃんも、瑛星も傷つけた。

だからせめてもの償いとして、瑛星がもういいと言うまでは、彼を愛し続けよう。

そう、強く心に決めた。
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