雨も好き。
「夏海、手、出して。」

なんだろう?

言われるがままに手を出すと、小さな袋にリボンがついているそれが、手の上に置かれた。

「え!?...開けていい?」

「どーぞ。」

そう言う瑛星は少し恥ずかしそう。

袋を開けると、
「ミーコ!!!」

映画に出ていたあのミーコが、ミニチュアサイズになって掌に乗っかっていた。

そのミーコの手には、半分になったハートが持たれている。ということは、

「...お揃い?」

そう聞くと、瑛星のポケットからもう半分のハートを持ったミーヤが出てきた。

「よかったら、携帯とかに...つけといて。」

終始恥ずかしそうな瑛星。かわいい。

「ありがとう!」

そう言ってさっそくスマホにつける。

すると、瑛星も同じように自分のスマホにつけた。

「それと、もう一つ。」

ん?もうこれ以上何があるんだろう。

そう思っていると

─唇が重なった。

「じゃあな!」

そう言って走り去る瑛星。

あたしは家の前で立ち尽くす。

まだ残る瑛星の柔らかい唇の感覚が、あたしの頬を真っ赤に染めていった。
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