雨も好き。
教室の戸を思いっきり開けて、なっちゃんの姿を探す。

なっちゃんを見つけることに洗練された目が、すぐに彼女を見つけた。

教室では、何事かと少しざわつきが見られたが、そんなことはもうどうだっていい。

瑛星の隣にいるなっちゃんの手首をつかんで、

「ちょっと、来て。瑛星、なっちゃん借りる。」

なんで借りるなんて瑛星に許可をとっているのか、それさえももう腹立たしくなっていた。

なににって、まぁ自分になんだが。

なっちゃんは驚きと困惑が入り混じったような顔だったが、瑛星の方を一度確認する。

瑛星が、
「俺の許可いるかよ。」
と吐き捨てて少し離れた場所へ移動した時、やはりその断りはやめておいてもよかった気がして少し後悔した。

その許可を確認したなっちゃんは、僕に連れられるがままに廊下に出る。
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