雨も好き。
「...寝てるし。」

それにしても、かわいいな。

低いテーブルにお盆を乗せて、なっちゃんにそっと布団をかける。

それから自分はわざとなっちゃんに背を向けて、勉強机に向かった。

...あとで佐藤家に電話しとこ。

どうせ今日は泊まることになるだろう。
いつものパターンだ。

ただし、今回は家出ではない。
あの男の話だ。


そう思うだけで悲しかった。

なっちゃんは友達。

こんな暗示、効いていないことくらいとっくに知っている。
それでもまた自分に言い聞かせる。

なっちゃんは友達。
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