雨も好き。
昼休みも終わる頃、夏海が教室に戻ってきた。
大げさに女子たちが
「やーん、夏海大丈夫ぅ〜?」
と声をかける。
まるで、“心配してる私”に酔っているかのようだ。というより、そうなのだろう。
これが夏海の守りたい友情“ごっこ”だ。
見てて吐き気がする。

心配かけてごめんね、なんて返事を返す夏海。ひととおり女子の群れが散ると、

目が合った。

すぐに歩み寄る。

「今日、一緒に帰れるか。」

夏海は、驚いて返事もままなっていない。

きっと、帰りまでに仲直りをしなければ、また夏海はあいつに頼る。

嫌だ。

放課後まで、授業なんかまるで頭に入らなかった。
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