雨も好き。
あれは、小学校三年生の頃。

瑛星が転校してきた。
どうやらお隣の安藤さんのお家の子らしい。
元々その家は老夫婦が住んでいたが、そこへ瑛星と瑛星の母親が加わった。
これは御近所ネットワークで母が拾ってきた情報だが、どうやら瑛星の両親は離婚したらしい。

あたしは学級委員長、さらに家も隣となると、必然的に色々と瑛星の面倒を見た。

最初はあまり喋らなかった。
教えても、ああ。とか、うん。とか。
きっと両親の離婚が原因かな。と考えていた。

やがて瑛星もこっちの生活に慣れ、お世話係の登場はほとんど必要なくなっていた。
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