雨も好き。
お互い部活も引退して、受験期になった。

あたしは、家から通える範囲の進学校に決めていた。先生にはもっと上を狙えると言われていたが、そこでは家から二時間かかる。
そこまでして上を狙いたいとは思わなかった。

「おれ、春花と同じ高校行きたい。」

嬉しかった。
「うん!んじゃあ、一緒に頑張ろう!」

それから毎日お互いの家で勉強会。
瑛星は飲み込みが早かった。
冬にはボーダーラインまで届いていた。

しかし、
「先生に、やめとけって言われた。」

面談の次の日だった。

「大丈夫だよ、絶対行けるって!」

いつも優しい瑛星。
違う人のようだった。

「春花はこんなことで悩まねぇだろうな!いつでも何でもこなしてさ!なにが俺のおかげだよ!俺そんなに凄くねえし、もうお前の隣いるのが苦しいよ....自分が惨めだ...」

何も言えなかった。

瑛星の隣にいるために頑張った。

ホントだよ?

瑛星がいなければ今のあたしはない。

それでも、彼を傷つけたのはあたしだ。

隣にいたいと願うから、お互いがお互いを追いかけて、でもそれがあなたを傷つけるなら。
どう頑張ったって隣には並べない。
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