雨も好き。
「別れよう。」
まさか自分がこの言葉を口にする日が来るなんて思わなかった。

「今まで、ありがとう。」

そう言って背を向ける。

瑛星は追いかけてこなかった。

その後あたしは少しだけ成績を落とした。
初めて見た、4位という順位。

やっぱり瑛星がいなきゃ頑張れないのかな。弱いな、あたし。

季節は巡り、春。
成績を落としたものの、高校は余裕だった。
今日は入学式。
そこには瑛星がいた。

─合格、おめでとう。

心の中で祝った。

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