雨も好き。
「こら!なっちゃん寝ちゃだめ!」

「だってぇ。てか補習の日くらい休ませてぇ!」

「だーめ。ていうか、なんで今までこんなにためてたかなあ。なっちゃんが悪い!ほら!」


学校が終わると、翔ちゃんが教室までやってきた。珍しい。どうしたんだろう。
そう思っていると、
「帰るよ。」
え?あ、うん。
喜んでいられるのもつかの間だった。

それから今に至る。

渋々長文に立ち向かう。
英語読んでると眠くなる.....。

「ここわかんない。」
一段落目からつまづいた。

「んーと...ここは、thatが入ってるから後ろから訳していくと─」

基本的に翔ちゃんの説明はわかりやすい。
たぶん、なんでこんなこともわからないの!?レベルの質問であろうことにも、丁寧に説明してくれる。

「なるほど。あ、じゃあこっちもこうか。」

「お、できてるできてる。」

ぽんぽんと頭に手が乗る。
この手が好き。ほかの子にもやっちゃうのかなぁ。やだなぁ。

時計を見ると、もう18:30だ。我が家は夕飯の時間。

「そろそろ帰るね。」

「あ、もうそんな時間か。送ってく。」

すぐそこだから、襲われる時間すらないけれど、一緒にいられる時間が増えるのは嬉しい。素直に甘える。

「おじゃましましたぁ!」
リビングに声をかけて帰宅。

翔ちゃんママは、またいらっしゃい。といつもの笑顔。

すみません、きっとまた明日も来ます。

疲れたぁ~。
今夜はいつもよりもずっと深い眠りだった。
< 92 / 214 >

この作品をシェア

pagetop