敵の王子に飼われました。



その頃、母を亡くして小さかった私は
いつも向夏に面倒を見てもらっていた。

だから全然寂しくなかったんだ。

だがある日向夏は言った。


「美晴ちゃん、悪い。
俺は明日から親父さんのもとで働く。」


「え?」


「親父さん、一人で暗部やってるみたいなんだ。俺は親父さんに拾われた恩がある。今、返すべきだと思うんだ。」


「そうなんだ。」


「美晴ちゃん…寂しくさせてごめん…」


「いや、全然だけど。」


だってこの時の私は中学生だったから。


ていうかうっとおしいなと思っていた時期だった。



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