ふたり。

ネクタイを締めながらリビングへ行けば凜は既に朝ご飯の用意をして忙しそうに身支度をしていた。


「ほらお兄ちゃんのせいであたしまで間に合わなくなっちゃうじゃん!!」

「…化粧に時間かけるからじゃないのか?」

「なによっ。可愛い妹で居てほしいでしょっ。はい、コーヒー。」

「おまえは十分可愛いよ。」


よく真顔でそんな恥ずかしい事言えるね、とブツブツ凜は言っていたが本当の事を言って何がいけないんだと思う。

それにホラ。


「今日は早く帰ってきてねっ。お兄ちゃんの好きなもの作って待ってるからっ。」


おまえの機嫌は良くなった。


コロコロ変わる凜の表情は見ていて飽きない。

自然に笑みが零れる。


「…送ってってやる。車、乗れ。」


ポンと頭を叩いてコーヒーを飲み干した。


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