ふたり。

凜の後ろ姿を見送れば煙草の火を消し再び車を発進させた。

会社に着くと擦れ違う人達に挨拶を交わし自分のデスクへ向かう。


「おはようございますっ。広瀬さん。」

「ああ、おはようございます。」

「あのー今日の夜とかって暇ですか?」


なんで受付嬢がココに居るんだという疑問を頭に浮かべながら至って普通に答えた。


「暇ではないです。家に帰らないといけないので。」

「えー?何ですかそれー。明らかに暇ですよねー?」


クスクスと笑って冗談が上手いだとかなんとか言っているが決して冗談を言ったつもりはない。


「暇でしたら飲みに行きませんか?良いお店見つけたんですっ。」

「すいません。本当に忙しいんで。今夜デートなんです。」


呆気にとられる受付嬢に愛想笑いを一つして俺は仕事に取りかかった。

もちろんデートの相手は可愛い妹。

むしろ毎日がデートだ。


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