バレンタイン狂詩曲(ラプソディー) 〜キスより甘くささやいて 番外編〜
その日の開店前の山猫。
トオルが俺と美咲のコラボチョコを食べて、
「うーん、おいしい。やっぱり、颯太は天才ね。」と大袈裟にほめながら、もうひとつ、口に入れて、
「ん〜」と笑み崩れる。俺は、チョット自慢げに微笑む。
「美咲のチョコがアクセントになってて、いいだろ。」と美咲に微笑みかけると、美咲は赤くなって、
「颯太の腕が良いから、すごく美味しい特別なチョコになった。」と俺を見上げて、嬉しそうに微笑む。俺は、
「もう少し工夫して、gâteauのホワイトデー限定のチョコレートとして用意するつもり。」と言うと、美咲は驚いて、嬉しそうに笑い、
「少しでも、颯太の役にたてたみたいで嬉しい。」と小さな声で言うので、
「俺はいつも、美咲が食べたらどんな顔をするかなって思いながら、お菓子を作ってる。美咲は俺の大切なパートナーだよ」と笑って、頬にキスをすると、美咲はますます頬を染めて、俯いた。トオルが
「颯太ったら相変わらず、美咲にぞっこんね。昨日も甘〜い夜だったのかしら。」とからかって来るので、昨日の事を思い出し、
「いや、昨日、俺は美咲の機嫌を損ねちゃったんだよねえ」とクスクス笑うと、美咲が不機嫌な顔をして、
「だって、あれは、颯太が無理に私の口にチョコを入れるから…」と言いながら、思い出したのかものすごく耳まで赤くなっていったので、トオルが目ざとく、見つけて、
「颯太ったら何したの?」と面白そうに聞いてくるので、俺は笑って、
「美咲の口の中のチョコを食べただけだよ」と言うと、トオルは
「美咲ったら、そんな事が恥ずかしいの?それ以上にベットでイロイロしてるはずなのに?」と大笑いだ。美咲は
「しょうがないでしょ、すっごく恥ずかしいんだから。」と怒った声で言う。トオルは呆れて、
「あたしと哲也はベットに入るとき、お酒を持って入るから、ワインやウイスキーを飲ませ合うけど。…まあ、チョコはした事ないか…やってみたくなったかも」と哲也君を見つめる。哲也君はトオルに笑いかける。俺は、
「だよなあ、俺のした事って、特別エッチな事でもないよな」とトオルに同意を求めると、美咲は
「絶対に恥ずかしい!」と声が大きくなってくるので、俺は笑いながら、美咲の唇を俺の唇で塞いだ。美咲は驚いて、なんか言ってるみたいだけど、くちづけの途中じゃ、わかんないよ。俺はゆっくり、美咲の唇を味わってから、音をたてて、唇を離して、美咲を抱きしめ、
「怒らないで、美咲。」と言うと、
「…だから、怒ってるんじゃなくって、恥ずかしいの」と俺の胸に顔を埋めて小さな声で呟く。
トオルはやれやれといって、
「開店の邪魔よ。帰って。続きは家でしてください。……颯太、ベットに入るときにはワインとチョコレートを忘れずに。」と言って、美咲に睨まれている。
俺は美咲の手を引いて、店を後にする。
いつもの海に降りる階段の前で、美咲を深く抱きしめてから、
「愛してる。美咲。」と囁いてゆっくり唇を重ねた。


《Fin》
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